大学情報
2024年度 卒業式を挙行しました。
2025.03.24
2025年3月20日、国際ファッション専門職大学の卒業式が行われました。
オープニングセレモニーではLVMH JAPAN株式会社 代表取締役社長 ノルベール・ルレ氏が登壇しました。「LOUIS VUITTON(ルイ・ヴィトン)」「DIOR(ディオール)」「CELINE(セリーヌ)」「TIFFANY(ティファニー)」など世界的に有名な数多くのブランドを保有するLVMH JAPANは、2021年より本学とパートナーシップを結んでいます。

「ルイ・ヴィトン」「ディオール」を有するLVMH JAPAN 代表取締役社長 ノルベール・ルレ氏
この後、式典は各キャンパス代表への学位記授与、近藤誠一学長による訓辞へと続きました。
また、来賓祝辞として「23区」や「組曲」などを展開する株式会社 オンワードホールディングス代表取締役社長 保元 道宣氏より届いたビデオメッセージも上映されました。

学生代表への学位記授与

卒業生答辞
さらに、校費留学生認定証授与では、受賞したファッションクリエイション学科の赤間隆太郎さんが留学への決意を述べました。本学の校費留学制度の対象者には、留学に必要な渡航費や1年間の学費が支給されます。赤間さんは『夢を夢で終わらせない支援金』も受賞。卒業後にかなえたい夢についてのプレゼンテーションがユニークであると認められ、100万円を獲得しました。

『夢を夢で終わらせない支援金』受賞し、校費留学にも挑戦する赤間隆太郎さん
今年度も東京・大阪・名古屋3キャンパスを中継で繋いで挙行された卒業式。個性あふれる装いで、卒業証書を手に晴れやかな笑顔を見せてくれました。


学長訓辞
My fellow graduates, families & guardians, ladies & gentlemen, On behalf of the faculty, I would like to express my heartfelt congratulations to you, on the occasion of the commencement ceremony, a start of your new journey.
三期生のみなさん、ご卒業おめでとう!
そして保護者や友人にみなさんにも、心からのお祝いを申し上げます。
今は先の見えない社会、「不確実性の社会」になったと言われています。しかし人類にとって、明日が見える時代があったでしょうか。
むしろ、人類は700万年前に誕生したとき、先が見えないことが、厳しい生存競争を生き延びる上で最大の課題でした。必要な情報はなく、本能や直観で判断するしかありませんでした。
そこでわれわれの祖先たちは、自然現象を司る法則を解き明かし、自然科学を生み出しました。
また人間の社会をマネージし、望ましい個人の行動を決める人文社会科学を発達させました。
そして毎日の生活にうるおいをもたせる文化芸術を発展させてきました。
更に言語を発明して、このようにして積み上げてきた知識を情報として整理し、伝え、蓄積してきました。原始時代のわれわれの祖先からみれば、驚くほどの情報量です。しかし皮肉なことに、いまやこれらの情報が一方であまりに専門化していて素人には理解できず、他方であまりに量が多すぎて、ひとりでは処理できないという問題が起こっているのです。
そこで情報を効率的に処理する情報技術を開発し、いまや人間の能力を優に超える能力をもつAIをつくりました。
だがここでもうひとつの課題が起こりつつあります。高度な生成AIを、いかにして肉体と感情と美意識をもつ人間にとって好ましい判断、つまり人間の価値観や倫理観によって課題を解決するという手法をとるようにもっていくかということです。このことをAIアラインメントと言います。成功するかどうか分かりません。
これがいまの時代の「不確実性」なのです。それは人類の大きな進歩の結果なのです。
ではわれわれはどうしたら良いのでしょうか。
こうした状況の下で、ひとりひとりが十分生きがいをもてる生活を送るためには、ある分野の深い知見、得意技をもち、それを追究し続けるとともに、「人間とは何か」について考えるための幅広い教養(人文知)の両者のバランスをとることです。人間にとって好ましいAIをつくる上で、人間自身が後者を十分理解していることは極めて大切です。
これらの要素を備えた人材を育成することを目指す「専門職大学」として設立されました本学は、まさに時代の要請に正面から応えることのできる大学ということができるでしょう。とりわけ生成AIとのアラインメントを進める上で必要な、リベラルアーツ教育を重視する本学の価値は、ますます高まっていると確信しています。
皆さんは、4年前, 新型コロナウィルスの感染拡大防止のための「緊急事態宣言」の真っただ中に本学に入学し、その後もロシアによるウクライナ侵攻など国際関係の緊張の高まりという、戦後の秩序を覆すような出来事が起こるなど、大学生活は「予測不可能性」という大きな不安とともにスタートしたと言えましょう。
しかし教職員や友人との連帯により、皆さんはその苦難を見事に乗り越え、今日、ここに卒業という晴れやかな日を迎えることとなりました。この経験は、みなさんに他では得難い、極めて重要な教訓を与えてくれたはずです。
それは、第一に、深い専門知識と、膨大な情報の波をどのように処理すべきかという今日の課題に、大学での自由な学びの過程で直面したことです。ひとつひとつの情報を鵜呑みにするのではなく、その価値や意味を自分でじっくり「考え」、評価し、取捨選択しなければなりません。
第二に、そうした作業は、他人と対面で「対話」をすることで初めて、自分の理解が深まり、同時に相手との信頼関係も構築されます。それを自由に行う場として大学ほど相応しい「場」はないでしょう。それを追究する上で、皆さんは、オンラインでの授業やLINEでの友達との意見交換には大きな限界があることを経験することで、対面での「対話」の重要性が実感されたはずです。大学で大切なことは、「何を」学ぶかではなく、「誰と」学ぶかであるということを、実感したはずです。
みなさんがこれから社会においてどのような職業を選ぶにせよ、大いに期待していることを2つ述べて締めくくりにしましょう。
ひとつは、人類が追求してきた新・善・美の中では、何が「真」で、何が「善」かという議論が、えてして争いを生みがちであるのに対し、ファッションの究極の目的である「美」の追求には、国境がないことです。これはいわゆるAIと人間性を結びつける「AIアラインメント」を達成する上で、ファッション業界が重要な役割りを果たし得るということです。
第三は、ファッション業界がサステナブルな産業への脱皮を図る上で、日本に長く伝わる自然を大切にする文化は極めて重要な位置を占め、人類の未来に貢献できることです。AIは単に人間性を理解したものになるだけでなく、「自然」との融和性をもつことも大切だからです。
これらはまさしくさまざまなインターンシップ、産地実習、そして海外研修を通して本学で学んだみなさんの活躍の場であり、日々の努力が結果として人類の進歩の一翼を担うことで、「生き甲斐」を感じる素晴らしい人生につながるのではないでしょうか。
自信をもって、さまざまなことにチャレンジして下さい。
最後にこれから社会において、さまざまなチャンスや困難に直面するであろうみなさんに、英国の首相だったウィンストン・チャーチルの言葉を引用して、私の訓示と致します。
The opportunist sees opportunity in every difficulty.
The pessimist sees difficulty in every opportunity.
ありがとうございました。
卒業式の様子は、本学の公式Instagram(@piif_official)や各キャンパスのInstagramにも掲載しています。ぜひご覧ください。