大学情報
2024年度入学式を挙行しました。
2024.04.16
4月7日(日)、国際ファッション専門職大学入学式を挙行しました。今年も東京・大阪・名古屋3キャンパスを中継で繋いでの開催となりました。
来賓として登壇した、ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク リテール営業部 第三リジョン ディレクター スミス 順子氏は、「自分軸」を持つことと、柔軟性の大切さについて語り、自分の可能性に蓋をしないでほしい、と新入生たちの背中を押しました。
ティファニー・アンド・カンパニー・ジャパン・インク スミス 順子氏
一方、「23区」「組曲」などを展開するアパレルメーカー大手の株式会社 オンワードホールディングス 代表取締役社長 保元 道宣氏は、インターンシップなど本学との取り組みに触れながら、社会との繋がりを通して自らを伸ばす4年間にしてほしい、と期待の言葉を投げかけました。保元氏は第一期生の入学式から6回目の列席となります。
株式会社 オンワードホールディングス 代表取締役社長 保元 道宣氏
歓迎の辞では、在校生代表が日・英の2か国語でスピーチ。その言葉を受けて、3キャンパスそれぞれの新入生代表が入学にあたっての抱負を述べました。
在校生代表 歓迎の辞
東京キャンパス新入生代表
大阪キャンパス新入生代表
名古屋キャンパス新入生代表
近藤 誠一学長からの訓辞によれば、在学中に訪れる危機や困難も、「専門知識と技能」「一般教養」「人とのつながり」を身につけることで乗り越えられる。新入生の学生生活が実り多きものになるよう、国際ファッション専門職大学は全力でサポートいたします。
国際ファッション専門職大学 近藤 誠一学長
学長訓辞
To all the incoming students to this university, their parents and guardians, faculty members & the university staff, ladies & gentlemen, I welcome you all to this entrance ceremony, and would like to extend my warmest congratulations to all the incoming students.
さて新入生の皆さん、これからの4年間はこれまでの生活とは全く違うものになるでしょう。
これまでは「学ばねばならない」ことを学んできました。
これからは「学びたい」ことを「自由に」、好きなだけ学べるのです。そして君たちは「ファッション」を好きなこととして選びました。
コロナ後の世界は大きく動いています。一方で国家や民族の間の戦争が広がり、地球温暖化が進んでいます。他方AIの進歩は目覚ましく、多くのことを人間より効率よく処理してくれます。でもAIを悪用する人や国家さえいます。これから先、社会はよくなるのか、悪くなるのか誰にも予想がつきません。誰もが掴みどころのない危機感をもっています。
こんな時は、君たちにとってまたとないチャンスです。もはや既定路線では動かない社会は、自分たちがいいと思う方向に誘導していくことができるからです。
皆さんが選んだファッションとは、美と機能性の調和です。それは人生を自由に、クリエイティブに生きることに通じます。ですからファッションは、君たちが社会はこうありたいと思う姿を、ストレートに形にすることができる素晴らしい分野なのです。
では今の危機に取り組むにはどうすれば良いのでしょう。ここで私が最近会った、リーマン危機を乗り越えたある財界人の言葉をご紹介します。
危機とは、いままでのやり方と、新しいものとが衝突して生まれるものだ
危機こそ、新しい生活や新しい社会に脱皮する入り口なのです。それを見つけられるか否かが重要なのです。
そしてその人は有名なチャーチル元英国首相の言葉を引用しました。
The optimist sees opportunity in every difficulty. The pessimist sees difficulty in every opportunity.
楽観主義者は、問題の中に好機をみつけ、悲観主義者は好機の中に問題をみつける。
飛躍するチャンスは向こうから飛んできてはくれません。危機の中に潜んでいるのです。いまの先の見えない状況もそのひとつです。
人間の心の中には楽観主義と悲観主義が同居しています。「生きる」ということは、楽観主義を鍛えて、悲観主義と戦い、困難が来るたびにそこに潜む好機を見つけ出すことなのです。これが今を生きる秘訣です。
この大学は、君たちにそれができる力を養ってもらうことを目的としています。
そこでは3つのことに重きを置きます。
第一は専門知識と技能を身に着けることです。
皆さんはファッションに関する専門的知識と技能を学びます。高度な専門知と技能は、日本独特の美意識やデザイン力とともに皆さんの強みとして人生の軸となり、自信を与えるでしょう。
第二は一般教養を身に着けることです。
それは古典や芸術、歴史や人類学などさまざまな学問を学ぶことで、「人間とは何か」を考え、時代の流れを読む力と、英語を含むコミュニケーション能力を鍛えて、皆さんが世界で活躍する力の源泉となります。
これらの力を養う場として、授業だけでなく、隣地実習、国内・海外でのインターンシップ、海外留学など多様な機会を用意しています。AIもしっかり勉強できます。これらを通して、みなさんが「自由」に学び、力をつけることで、専門知識や技能という経糸と、一般教養や国際性という横糸をしっかりと組み合わせることができるのです。
「生きる」こととは、縦糸と横糸で、しなやかで美しい織物を織ることです。
第三はひととの「つながり」をつくることです。大学で学ぶに当たって大切なことは「何を」学ぶかではなく、「誰から」学ぶか、「誰と」学ぶかです。知識という情報はネットで手に入ります。客観的な一般解がある問にはAIが答えてくれます。しかしその知識をめぐる、人との対面での、つまり身体性をもったやり取りがあって初めてそれを自分の体で消化し、「知恵」にグレードアップすることができるのです。ですから先生とともに良い仲間をつくることが大切です。ひとりでは何もできません。是非趣味を同じくする友人とサークルをつくって下さい。「生きる」ことは「つながる」ことなのです。
この危機の中に次の時代への入り口を見つける能力は、縦糸つまり誰にも負けない専門知やスキルと、横糸つまり一般教養と、ひととの「つながり」によって強化されるのです。
最近『君たちはどう生きるか』という本や漫画、アニメが人気になりました。
人生とは何か目的を達成して終わるものではありません。到達点などありません。「生きる」こととは、いま申し上げた3つの努力を最後まで続けることで、危機の中にチャンスを見いだす能力を磨き続けることなのです。その過程で「どう生きるか」の君たちそれぞれの答えを見つけることができるのです。
君たちの先輩は、在学中にいろいろな困難に直面しました。その困難がどのようなものかは、ひとりひとり異なります。でもほとんどの人がこの3つの信念を貫くことでそれを乗り越えて、社会に旅立っていきました。
そうした先輩たちとの「つながり」はとても大切です。私は卒業生と在校生全員の交流の場をつくるつもりです。
新入生のみなさん、改めて入学おめでとう。