2021.01.15
2021年を迎えて:新年メッセージ
国際ファッション専門職大学の在校生のみなさん
4月からの入学が決まっているみなさん
そして保護者のみなさま方
明けましておめでとうございます。
新年に当たり、ひとことご挨拶を申し上げます
「人間とは何か?」、「ひとはどう生きるべきか・・・?」
人類にとっての永遠の問いが、コロナ禍のいま改めてすべての人の頭をよぎっています。
そして日々の苦しい生活の問題を超えて、この問を考え、行動するわれわれの行いの集積が、人類の長い歴史にしっかりと刻まれる時代を迎えているのです。
この問に正解はありません。人類は自然界の偶然の結果生まれたに過ぎず、誰かが、ある目的を達成するために創った訳ではないからです。ひとりひとりが自分で考え、自分の正解を見つけていかねばならないのです。
その答えはAI(人工知能)が将来どんなに発達しても、決して教えてはくれないでしょう。AI は論理とデータ処理、計算は得意でも、「人生を生き、悩み、死を恐れる」経験がないからです。これをプログラムしてやることはできません。
答えのヒントは無限にあります。先人が答えを求めて悩みぬいた結果である学問(自然科学、人文・社会科学すべて)、古典、芸術です。この総体を「人文知」と言います。
そして心を研ぎ澄ましてさえいれば、毎日の小さな出来事もヒントに溢れていることに気がつきます。
昨年秋に、久しぶりにクラシック・コンサートを聴きました。ベートベンの「英雄」交響曲でした。ものすごい感動を与えてくれたのは、その音(和音、メロディー、テンポ)だけではなく、久しぶりにいい音楽を届けようと一生懸命に弾く、楽員の真剣な顔つきでした。そして彼(女)らも言っていました。聴衆のみなさんが一生懸命聴いてくれているのを感じ、終わったあとの割れんばかりの拍手に感動して、勇気が湧いたと。
答えの基礎にあるキーワードがあります。自然は母であること、そしてひとは共感によって仲間と支え合う存在だということです。
『鬼滅の刃』 の煉獄さんのお母さんの言葉を思い出して下さい。
「弱き人を助けることは 強く生まれた者の責務です
責任を持って、果たさなければならない
使命なのです」
「強く優しい子の母になれて
幸せでした あとは頼みます」
これまでの生活が当たり前ではなくなった今を生きているということは、辛いと同時に人類のひとりとして、とても幸運なことだと思います。この機会を逃さず、君たちの能力を何に生かすか、何を自分の使命とするか、自分で考え、家族や友達と議論し、前に進みましょう。
大学はそのプラットフォームを提供するものなのです。
さあ、今年も、学生、教職員が一緒になって議論しましょう。
自然と言う母に、「幸せでした」と言ってもらえる人間になろうではありませんか。
いろいろ迷うことが多いでしょう。それでいいのです。
「人間は、努力をする限り、迷うものだ」 (ゲーテ 『ファウスト』 )