【卒業生インタビュー】映画の衣装デザイナーとして活躍!卒業生の大下彩楓さんが、尾州地域を舞台にした映画『BISHU〜世界でいちばん優しい服〜』の衣装デザイン・監修を務めました。
2024.10.16
世界三大毛織物の産地としてラグジュアリーブランドからの注目も集める尾州地域を舞台に、尾州ウールの織物工場を営む家族の物語を描いた映画『BISHU~世界でいちばん優しい服~』。
この映画の衣装デザイナー・監修を、卒業生でフリーのファッションデザイナーとして活躍する大下彩楓さんが務めました。
大下さんは在学中から国内最高峰のファッションコンテスト「装苑賞」でグランプリを獲得したり、東京ガールズコレクションと愛知県一宮市とのコラボレーション企画『BISHU COLLECTION produced by TGC』で現役大学生デザイナーと抜擢されるなど、大きく活躍し、現在もファッションデザイナーとして活動の幅を広げています。
今回、映画に関するインタビューを実施しました。
「自分らしいデザインと、映画に合うデザインの違いが新鮮だった」
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映画の衣装デザイン・監修に携わることになったきっかけを教えてください。
もともとつながりのあった、一宮ファッションデザインセンターの方から「尾州地域で映画を作ることになったため、衣装の面で協力してくれないか。」というオファーをいただきました。
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初めて映画の衣装デザイン・監修を経験してみて、どうでしたか?
今まで受けてきた仕事では「自分らしい」デザインが求められてきました。
しかし、今回はあくまでも「主人公がつくった服」であるため、映画の物語や主人公のキャラクターに合ったデザインが求められました。台本から主人公の性格を読み解き、「こうゆう性格だったら、こんなデザインが好きそう!」「こうゆうシーンで登場する衣装だから、こうしてみよう!」など、いつもと違った切り口でデザインできたことが新鮮で楽しかったです。 -
普段はどんなものからインスピレーションを得ていますか?
ブランドのコレクションを参考にすることが多いです。しかし、それそのままでは自分の作品とは言えません。そのため、自分の軸を強く持ち、そのデザインが自分らしいか否かを常に自問自答しながらデザインを考えています。
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大下さんが手がけた衣装のポイントを教えてください。
衣装制作を始めるにあたり、監督からいくつかの要望がありました。
まず、「デコラティブすぎず、普段着にしても違和感がないように」という要望から、ひとつ1つのパーツをコートやパンツといった洋服にしました。
また、「一宮七夕まつりに関連づけて、和洋折衷の織姫っぽい衣装」という要望に対して、布にゆとりを持たせ、ゆったりとしたシルエットにすることで、和服の要素を取り入れました。さらに、この衣装に使用している布も織物工場に協力を仰ぎ、1から製作しています。テキスタイルデザインから糸選び、織り方にもこだわり、裏表でラメの出方が違うというディテールを加えることで、形はシンプルで機能的だけど、主人公を織姫のように輝かせる衣装を目指しました。
「大学での学びが仕事のアドバンテージにつながっている」
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大学での学びは制作にどう活かせましたか?
産地でのフィールドワーク(臨地実習Ⅱ)で学んだ尾州についての知識を持って仕事に臨めたので、素早くデザインに取り掛かることができました。また、撮影現場の方々や織物工場の職人さんと専門的な知識を交えながら会話できたことで、作品のクオリティを高めることできました。このように大学での学びは今回の仕事でもアドバンテージになったと思います。
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映画の見どころを教えてください。
やはり、私の手がけた衣装を着用した主人公がランウェイに登場するクライマックスのシーンに注目してほしいです!(笑)
また、映画に登場するデザイン画の制作や型紙を引いたり、ミシンを使ったりするシーンの指導にも携わったため、そのような細かなところにもぜひ注目してほしいです。
色々な分野に興味をもって、挑戦してほしい
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大下さんの今後の展望を教えてください。
これからも「服をつくるのが好き」という想いは変わりません。そのため、今後も映画など様々なクリエイティブと関わりながら作品制作ができる環境に身を置けたらいいなと思っていますし、チャンスを逃さないようにしっかりと準備しておきたいです。また、今までは依頼を受けて制作することが大半でしたが、これからは自分のオリジナルのものをつくれたらいいなと思っています…!
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国際ファッション専門職大学を目指す方々にメッセージをお願いします。
実際仕事をしていると、ファッションの分野の知識だけを持っていても務まらないことがよくあります。そのため、学生のうちに、色々な分野に興味を持って、挑戦してみてほしいです。一見ファッションに関係のないような分野でも、意外な繋がりを発見できたり、役に立つことがあります。また、たくさんの知識を持つことで1つの物事に対して、多様な角度から考え、提案できるようになります。ぜひ、興味の幅を広げて挑戦していってほしいと思います。
- 映画『BISHU~世界でいちばん優しい服~』公式HP
- bishu-movie.com
〈大下彩楓さん プロフィール〉
2023年度名古屋ファッションクリエイション・ビジネス学科卒業生。在学中に(在学3年次に)、「*第96回装苑賞」でグランプリを獲得。また、東京ガールズコレクション主催の『BISHU COLLECTION produced by TGC』では現役大学生デザイナーとして抜擢。現在もファッションデザイナーとして活躍中。
*装苑賞:高田賢三、山本耀司、コシノジュンコなど世界のトップデザイナーを輩出した国内最高峰のファッションコンテスト
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