学生が考えたサステナブル商品、製品化へ
2023.04.14
本学は、産業界と連携した高度で実践的な職業教育を目的とし、600時間以上の臨地実習をカリキュラムに設定しています。臨地実習I(企業)では、これまでの大学制度では十分に行われてこなかった、企業と連携した実習・インターンシップを豊富に行います。アパレル業界だけでなく、企画・開発職やECサイト運営、広告・PRなどファッションに関連する企業において実習することで視野を広げます。
東京キャンパスの平井ゼミではレザーの卸問屋である富田興業と、シミや傷のある規格外商品いわゆるD級レザーの再生と活用を目的とした「LEZZA RESILIENCE(レッザレジリエンス)」プロジェクトを行い、商品の共同開発を行いました。
学生は、これまで「ファッションビジネス実習II」の中で企業や社会課題を題材にビジネスモデル立案の経験や商品開発のフレームワークを活用し、また富田興業の社員と幾度と打合せを重ね、一緒に取り組んできました。
1年半に及んだプロジェクトでは、D級レザーにある小さなキズを生かして夜空の星に見立てたランプシェード、キズをデザインとして前面に打ち出した藍染の財布、廃棄される生花をドライフラワーに仕立て、ラッピングペーパーの代わりに革で包んだスワッグなど、さまざまなアイディアが生まれました。社内コンペで最優秀作品に選ばれたランプシェードは岡山県の家具メーカー、AKASEのもとで製品化が進んでおり、今年の春夏頃発売を予定しています。
また今回最優秀作品に選ばれたファッションビジネス学科(2023年3月卒業)鈴木睦実さんにインタビューを行いました。
学生インタビュー
ファッションビジネス学科
鈴木 睦実
今回の臨地実習Iで特に興味深かったことを教えてください。
特に印象深かったのは、レザーの工場に見学に行かせていただいたことです。大学でファッション業界の廃棄問題などたくさん学んできたつもりでしたが、生で目の当たりにしたD級品レザーの過剰在庫はかなりショッキングな光景でした。工場の方や富田興業の社員さん方が牛や取り扱っている沢山の動物たちにリスペクトを持っていることも身をもって感じ、重要な企画を任されているのだな、と生半可な気持ちではいられないと覚悟を持ったことを覚えています。
最優秀に選ばれました。企画・作品へのこだわりと、商品化されることの想いを聞かせてください。
まず、企画したLEDライトカバーはミーティング当時がコロナ禍真っ只中であったことも大きく影響しています。リモートワークが増える中、生活をやさしくほんのり照らしてくれる商品です。LEDライトの「明かり」と、機能性に問題はないのに見た目だけで淘汰されてきたD級品レザーを蘇らせて「輝かせたい」、という意味合いを掛けてもいます。今回提案した革は宇宙を感じ、傷の部分がうまく星空に見えるという発見がありました。ぬくもりや淡い儚さを感じてもらいながらも、灯りとして照らしてくれる商品になってくれたら嬉しいです。
そして最優秀賞に選ばれ、大変嬉しく思っています。社員さんと学生が和気藹々としたグループで、何より実現に向けて多くの時間をかけていただき、感謝しております。また、この企画を商品化に向けて動いてくださっている皆様にも大変感謝しております。いろんな想いで企画したものが、やはりアイディアとして完結するのではなく、実際に商品化してみなさんのもとに届けることができるというのは、ファッションビジネスを四年間学んできた自分にとってすごくすごく光栄なことです。本当にありがとうございます。
今回の経験を通じて、これからのキャリアでどのように役立てますか?また将来の目標を教えてください。
大学卒業後、ファッション業界で働くので服・鞄・靴などをただの消費物として捉えるのではなく、その商品ひとつが出来上がるまでにどれほど多くの方々が関わっているのか、またその生産現場で何が行われているのかを理解した上で責任を持って携わっていきたいと考えています。インターンシップや産地で学んだことを活かして、現場のことを第一に考えられるファッションビジネスの一員でありたいです。
東京キャンパス