【対談】「服の、先へ。」を考える。CREATION TALK:学生 × トップデザイナー
2023.04.20
【写真右】
ファッションデザイナー
中里 唯馬 氏
2008年にベルギー・アントワープ王立芸術アカデミーを卒業。2015年、「YUIMA NAKAZATO」を設立。2016年には日本人として森英恵氏以来、史上2人目となるパリ・オートクチュール・ファッション・ウィーク公式ゲストデザイナーとして選出され、コレクションを発表。服の探求を続けながらオートクチュールの新たな時代を築き上げている。
【写真中央】
ファッションクリエイション学科
野村 大紀
将来の夢は自身のブランドを持ちグローバルに活躍すること。
【写真左】
ファッションクリエイション学科
浜名 悠
世界で通用するクリエイターを目指し、卒業後は校費留学予定。
海外で学び、世界で活躍する
トップデザイナーが考える「服の、先へ。」とは
言葉の壁を克服するためには
浜名中里さんはベルギー・アントワープ王立芸術アカデミーで学ばれていましたが、言葉の壁はありましたか。私は海外に留学する予定ですが、今、語学学習に苦戦しています。
中里本当に語学には苦労しました。授業では先生と1対1の対話が多く、言っていることの理解も必要ですが、こちらから考えを伝えることはより重要でした。だから、例えば絵を描いたり、体で表現したり、言語以外の手段でやりとりしてコミュニケーション能力を鍛えることができたなと感じています。
チームをまとめるのもデザイナーの仕事
浜名中里さんの作品は最新鋭の技術と伝統的なクラフツマンシップの融合が印象的ですが、コレクションのためにまずどういうプロセスから入るのでしょうか。
中里インスピレーションを大事にしています。そのためにも日頃から心が動く瞬間をとらえられるように意識をしています。そこを起点にストーリーを広げ、自分がやりたいことを実現するための手段を探し回った結果、インスピレーションを具現化するための素材や技術を探し求めていくなかで最先端の技術から伝統的な素材など様々なものが集まっていき、そこから試行錯誤を繰り返し作品となっていきます。ファッションショーをするとなると、大勢のスタッフがいて、本当に大きなチームでやっていきます。その中でみんなの気持ちを高めて良いものをつくっていくために、できる限り言葉にして伝えていきます。多種多様な人たちとコミュニケーションを取るのがデザイナーの立場なので、言語力やコミュニケーション能力は必要なスキルになります。
世界で勝負するために必要なクリエイション
野村海外で展開する醍醐味はどんなことでしょうか。
中里私のブランドの場合、 海外でのリアクションがとても大きく、メディアでも、誰もが知っているようなラグジュアリーブランドと同じサイズの写真で掲載されることもあります。海外はジャーナリズムが根付いているので、売り上げ規模だけではなく、本当に良いと思ったら対等に評価してくれるんですね。日本の小さなブランドでも頑張れば評価されるというのは非常に励みになります。
パリコレクションでは15分という短い時間の中で、一日に何本もショーを見ている人たちに目を覚まさせるようなものを見せることができるかがカギです。パリの人たちを沸かせるにはエッジが必要で、私も試行錯誤しながら磨いていっています。
デザイナーがつくるのは未来の社会
野村本学には「服の、先へ。」という理念があります。中里さんが考える「服の先」とはどのようなものですか。
中里どんな社会になっていてほしいかを考え、そこではどんな装いが相応しいかと考えることが、クリエイターが向き合うべきところではないでしょうか。そのためにも多様な知識を身につけ、様々な未来像を多くの人と話し合っていくことが大事だと思います。
国際ファッション専門職大学は、技術はもちろん、ビジネスなど総合的に学べ、日々刺激し合える仲間がいてインスピレーションを得やすい環境であり、これからのファッションを考えていくうえで重要な場所だと感じています。大学をきっかけに外の世界にも目を向け、面白いものを生み出していってほしいです。
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