【対談】「服の、先へ。」を考える。BUSINESS TALK:大学 × 企業
2023.04.20
【写真右】
伊藤忠商事株式会社
杉田 慎一郎 氏
伊藤忠商事に入社以来、繊維カンパニーに所属し、SPAやブランドのライセンスビジネス、M&A、事業会社の管理を担当。(2023年3月時点)
【写真左】
ファッションビジネス学科
三村 祐貴丸
入学前から目標は会社経営。卒業後はインターンシップをしてきた株式会社オンワードデジタルラボに入社。
学生、企業、消費者。三方よしの
ファッションビジネスで実践できる「服の、先へ。」とは
これからのファッションビジネスとサステナビリティ
三村私はインターンシップで、市場に流通しない「B級・C級レザー」を再利用するプロジェクトに1年間携わりました。そこでサステナビリティの重要性を肌で感じましたが、私たち若者がもっと考えていくべきことはありますか。
杉田近江商人が大切にしていた考え方で、私たち、伊藤忠商事の企業理念でもある「三方よし(売り手よし・買い手よし・世間よし)」という考え方が、今のサステナビリティの考えに近いと思います。
これは、「自社の利益だけでなく、取引先、株主、社員をはじめ周囲の様々なステークホルダーの期待と信頼に応え、その結果、社会課題の解決に貢献したい。」と言っているんですよね。日本では、古くからこのような考え方があり、生活の中でも「仕立て直し」と言って、おさがりの着物の生地をリメイクしたり、「金継ぎ(きんつぎ)」と言って、割れた陶器を修復する際に、その割れ目に金粉を塗って別のものとして愛でたりする文化があります。日本文化を見直して、新たな発見として「これイイね!」と感じられるような新しい価値観を若い方たちには広めてもらいたいですね。
学生時代から企業と実践する大切さ
三村私は臨地実習で群馬県にある桐生市という織物の産地に1年間毎月伺い、企業・職人、また街の魅力を発信するプロジェクトを立ち上げました。入学前は知らなかった産地ですが、自ら足を運ぶことによって職人さんの技術や思いなど、普段の生活では感じ取れない背景を知ることができました。
杉田自分の学生時代を振り返ってみると、企業の方々と接することができた経験は就職活動の時ぐらいです。ただ、その数ヵ月だけでも世の中に対する見方・考え方が大きく変わり、人生の中でもすごく成長できた時期だったなと思います。この大学ではそんな経験が4年間もできるというのは、何物にも代えがたい宝物ですよね。
三村私もそう感じます。いまは就職先でもあるオンワードデジタルラボに、インターンとして入社前から企業の中に入って勉強させてもらっています。実務を通してファッションを学べる、これは本学に入学して一番よかったと思うことです。
杉田企業の中でも学ぶことで、川上から川下、素材からリテールまでをきちんと経験して業界全体を通して最先端の事例を学ぶことができるので、ファッションだけではなくて、他の業界でも通用する人材が育つのではないかなと思いますね。
国際ファッション専門職大学の「服の、先へ。」という理念は、ファッションを通して人を教育して、その教育を受けた人が卒業して、さらに色々なところで社会によい影響を与えていくということを簡潔に表していると聞きました。まさに教育版の「三方よし」なのかもしれません。
実務を通して「生」の企業課題を、授業の課題として実際に考えていける環境は、この大学だからこそできることです。企業に入って求められるのは、何が課題なのかを見つける「課題発見力」。学生のニュートラルな立場でそれを養うことができれば、自分なりの座標軸ができ、自信を持っていろいろなビジネスを回せる人になれるのではないかなと思います。
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