“D級レザー”をランプシェードにアップサイクル! 学生のアイデアが商品化【産学連携プロジェクト】
2023.10.20
アパレル業界でマーケティングや新規ブランド開発に長く携わってきた実務家教員・平井秀樹教授のゼミで取り組んでいるのが「レッザレジリエンス」。大正12年創業の皮革卸問屋 富田興業株式会社、AKASE株式会社が手がけるインテリアブランド『マスターウォール』との3社間協定による産学連携プロジェクトです。
このプロジェクトから生まれたサステナブルなランプシェード「HAT LAMP(ハットランプ)」が、ついに商品化されました。
これまで、富田興業株式会社と学生がグループとなり、実際に皮革産業で起こっている資源ロス課題を解決すべく取り組んできました。しかし、資源ロス課題に悩むのは皮革業界だけではありません。家具業界でも、制作過程において端材がでることが課題となっていました。
そこで、AKASE株式会社のデザイナーと学生が会議を行い、ペンダントライトの木製部分にウォールナットの端材を使用することが決定。両業界の課題解決に寄与する、さらにサステナブルな商品となりました。
※今までの取組みはこちら⇒ https://www.piif.ac.jp/eyes/6431/
指導教員の平井教授、プロジェクトに参加した学生に商品化に至るまでを振り返ってもらいました。
■指導教員 平井秀樹 教授 コメント
サーキュラーエコノミーという言葉がありますが、製品開発は、「美しさ」と「調和」を目指しつつも、地球環境を保護するために、使う素材を含めた持続可能性についても考えていく必要性に迫られています。
今回の産学連携プロジェクトは、産業界で実際に起きている資源ロス問題に向き合い、リサーチ、アイディア探索、コンセプト、プロトタイピング(試作)という製品開発の一連のプロセスを経て、プロに評価して頂くという貴重な経験をさせて頂きました。
更に、AKASE株式会社のプロダクトデザイナーと一緒に製品化していくプロセスでは、学生がミーティングに参加し、アイディアや意見を述べ、製品が完成していくという貴重な経験をさせて頂きました。
企業にとって新製品開発は、存続を左右する程、重要な案件です。その意思決定の場面に学生が参加させて頂けるのは、本学ならではの実践的学びの賜物といえるでしょう。
今後も、アパレル産業で多数の製品開発やブランド開発の実務に携わってきたノウハウを学生に伝承していきたいです。
■プロジェクトに参加した学生 奥塔子さん コメント
本学ならではの企業と連携した授業により、実践的なプロセスを学ぶことができましたし、何より現場の空気感を感じることができました。一つの商品を生み出すために、長い時間をかけコンセプトを入念に詰めていく。試作品を作り、話し合いを何回も重ねてブラッシュアップしていく様子は、このプロジェクトに参加しなければ知ることができなかったと思います。
また、このプロジェクトをきっかけに皮革産業の資源ロス問題を深く理解することができました。市場や消費者の価値観の中にうまくD級レザーを馴染ませられるようなアイディアを考えるのがとても難しかったです。そして私自身、より環境に優しく産業が長く続くような商品を生み出し、選んでいきたいという思いが強くなりました。この「HAT LAMP」をきっかけに多くの人に皮革産業の現状とサステナブルな取り組みについて知っていただきたいです。
国際ファッション専門職大学では、産業界と連携した高度で実践的な職業教育を目的とした600時間以上の臨地実習が必修のカリキュラムとなっています。
■HAT LAMP(ハットランプ)
円形のレザーシェードが、つばの広い帽子(HAT)のような印象を与えるペンダントライト。柔らかいレザーがつくる緩やかなアウトラインが、あたたかみのある優しい空間をつくりだします。
本体サイズ:φ200 H152mm コード長:1200mm
素材:本体:ウォールナット無垢材 / オイル仕上げ、シェード:レザー(KINARI、UCHU、OCHA)、ソケット:陶器(ブラック)
電球:E26 LED(クリア)×1 40W相当、 消費電力(最大) 4W、 器具光束 460lm
本体購入時付属品:本体×1、シェード×1、ソケット×1、電球×1
保証期間:1年
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埼玉大学大学院 人文社会科学研究科 経済経営専攻 博士後期課程 修了。博士(経営学)。首都大学東京(現:東京都立大学)大学院 ビジネススクール 修了。MBA。株式会社ジュンにてマーケティングディレクターに着任し、同社ブランドのリモデル戦略立案や新規ブランド開発などに従事。その後『optitude(オプティチュード)』事業部長としてブランド事業を統括する。株式会社ワールドでは『Harrods(ハロッズ)』ブランドマネージャーを経て、複数の新規ブランド開発やコラボレーション開発などに携わる。著書(分担執筆)に『繊維・アパレルの集団間・地域間競争と産地の競争力再生』(文眞堂)がある。
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