【八王子織物工業組合理事長賞】「2023MulberryCityネクタイデザインコンペ」
2023.12.15
八王子織物工業組合が主催する「2023MulberryCityネクタイデザインコンペ」(後援:経済産業省、文部科学省、東京都、八王子市、日本遺産「桑都物語」推進協議会八王子商工会議所、一般財団法人八王子繊維貿易館他)にて、東京キャンパス、ファッションクリエイション学科の3年生、額賀美羽さんが、八王子織物工業組合理事長賞を受賞しました!404点中、上位6作品と大変素晴らしい賞です!
11月5日(日)に八王子市で開催されていた「日本遺産フェスティバル」で授賞式が行われました。
Q.デザインのコンセプトは?
今回のコンペのテーマが「和み」だったので、コロナが終わって、人と人とがつながったことによって生まれた「癒し」や「暖かさ」を伝えられるよう意識しました。暖かい色合いや、色々な個性を表した4色の三日月が、少しずつ重なりあってできた波紋のようなイメージから、人と人とが少しずつ繋がり合ったことを表現しました。
額賀さんが提案したデザイン画
Q.これまで大学で学んできたことがどう生かされましたか?
ファッションクリエイション学科には、1年次に「ファッションデザインプランニング実習」という講義があります。毎回、与えられた一つの抽象的なテーマを、ボードに工作して表現するという課題があり、それが一番生きているかなと思います。抽象的なテーマをどうやって自分の中に落とし込みイメージするのか、見ている人にも同じようなイメージが伝わるようにデザインすることを学びました。
ファッションデザインプランニング実習
日比谷康 氏よりコメント
今回の額賀さんのデザインを見て、全体的にタッチがかすれていること、作品表題が「癒し」とのことから、「柔らかく、優しい」ムードがポイントのデザインと受け取りました。
デザイン画をネクタイ生地にする為に、先染の経(たて)糸、緯(よこ)糸を用い、ジャカード織で表現していきます。しかし、リピートや重なる色数など、表現できる織りの手法には様々な制約があります。この制約の中で、如何に元デザインに忠実に、又は近い印象で表現するかが大変でした。最大のデザインポイントである、三日月や丸いモチーフのかすれた柔らかなタッチを表現すべく、経糸(白糸)を様々な織り方で落とし込みました。
この仕上がりで大丈夫だったか…。気になっていましたが、額賀さんにも喜んでいただいた様でホッとしました。織物組合としては、3パターンの配色展開をする必要がありましたので、元の作品カラーを忠実に表現しつつ、またカラー設定の意図も汲みつつ、同じムードで他2色のバリエーションを制作しました。
今回のコンペで受賞したデザインは、八王子繊維産地の職人の手によって織られ、サンプルのネクタイが作られました。
額賀さんのデザインをもとに製作されたサンプル品
サンプルを制作した成和ネクタイ研究所の日比谷康 氏
デザイン画
実際に織られたサンプル
Q.実際に自分のデザインが作品となって改めてどう思いましたか?
デザインというのは、メッセージを伝える手段だと改めて思いました。新たな表現方法を使うことで、当たり前のことや本質的な部分が再認識でき、そこから新しい価値が創出できるのかもしれないと思いました。
今回のテーマでは、コロナ危機後の人の繋がりから「和み」を表現していたのですが、正直に言うと自分のデザインが浅い感じがしたんですね。すごくペラペラな感じがしたのですが…。でも、出来上がった製品を見たらきちんとした深みを感じて、「職人さんの力ってすごい」と肌で実感できました。自分がデザインしたからこそ、感動もひとしおでした。
聞き手)淺野麻由(教員)
本学が実施している3年次の「地域連携・地方ゼミ」では、繊維産地の訪問や地域企業と連携してファッションの現在地を学んでいきます。浅野ゼミでは、八王子繊維産地を訪問し、職人の手仕事の技や想いを調査しています。職人の技を間近で見聞きすることで、技を生かすためのデザインを学んでいきます。
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