大学情報研究・社会連携
開学後初のシンポジウム「インド・ファッションの世界―素材から考える装い―」を開催。
2019.07.26
開学後初となるシンポジウムが名古屋キャンパスで開催されました。
テーマは『インド・ファッションの世界―素材から考える装い―(The World of Indian Fashion)』。
ファッションを素材という観点から考えることを目的とし、素材の生産者や生産地での実地の調査に携わってきた研究者3名が登壇し、各専門の研究分野について発表しました。
以下、登壇者テーマと概要になります。
渡辺 和之(阪南大学国際観光学部 准教授)
『2つの羊毛敷物一チベット絨毯とネパールのラリの生産と流通』
産業化の中でも毛織物が重要視される経緯を紹介した後、2つの羊毛敷物であるチベット絨毯・ネパールのラリの生産と流通、それを支える地域と家族について紹介してくれました。特に、「ネパールのラリ織物は現在でも国内需要が非常に高く、山間部で生活する人たちの大きな収入源となっている」ことを教えてくれました。
遠藤 仁(秋田大学国際資源学研究科 客員研究員/人間文化研究機構 研究員)
『南アジアの石製ビーズ産業の現在―インド国内における生産と消費』
考古学者として遺跡発掘調査の中で発見する石製ビーズの生産について紹介してくれました。「インダス文明時代からビーズ大国として有名なインドだが、現在では国内よりも海外への輸出量が増えていて、その背景には「パワーストーン」として自己のアイデンティティ・誇りを取り戻すために身につける人が海外で増えたから」と生産から流通の流れを話してくれました。
竹田 晋也(京都大学大学院アジア アフリカ地域研究研究科 教授)
『熱帯アジアモンスーン林でのラック作りとその利用』
染色・樹脂として使用されるラックと呼ばれるカイガラムシの生息地・飼育方法などを紹介、「熱帯アジアモンスーン林の代表的な非木材産業として重要な役割を果しているラックは生産している村を支えているが、一方で情勢や生産地の高齢化などにより使用、維持していくのが難しいのが現状である」と発表してくれました。
引き続きコメンテーターとの討論会がおこなわれ、貴重な意見交換の場となりました。
このシンポジウムには本校学生をはじめ、高校生、大学生、教育関係者など約280名の参加があり、消費者では見えてこなかった素材とその生産に関わる人々、およびその素材が生じる地域、環境を考える良い機会となり、有意義なシンポジウムとなりました。
メディアの方へ